お湯割り研究所

SATSUMA SHUZO

OYUWARI LABO

お湯割りが
美味しい焼酎を
いつまでも。

摩酒造株式会社
頴娃蒸溜所 杜氏
安藤 裕二

日々焼酎造りに励む杜氏、安藤裕二さんに
焼酎のつくり手が考えるお湯割りの美味しさについて
語っていただきました。

お湯割りの香りには、
抜け感がある。

お湯割りがなぜ美味しいのか。まず、香りが立つことだと考えています。
わたしたちは抜け感と呼んでいますが、
口に入れて鼻に抜けていく感じが水とお湯ではまったく違うように思います。
その抜け感をいつでも楽しんでもらえるように
焼酎の同じ味を守れるようつくり続けています。
杜氏という職業は、焼酎づくりの責任者です。
原酒の味をより良くすることはもちろん、
お湯割りにしたときの味もイメージしながらつくったりします。
製品にもよりますが、お湯割りに合う、水割りに合う、炭酸割りに合うなど
焼酎ごとのコンセプトに合わせて味も調整していっています。
できた焼酎は2~3か月ほど熟成して、ろ過作業にかけます。
ろ過をかけた状態のものを蒸留所や研究所から複数人が集まり利き酒をします。
そうやって味のバランスを保つことでおいしい焼酎をつくり続けています。
複数の人の手と長年培ってきた感覚を合わせて
常においしいお湯割りができる焼酎をつくらせてもらっています。

香りを表現する言葉が、
味を守る。

おいしい焼酎をつくるために欠かせない味と香り。
味と香りは、検査する人間全員で点数化しています。
さらに、それぞれがどう感じたかもコメントをしていきます。
総合評価で焼酎の味を決めていくわけですが
ここで大事なのが基準を設けておくことです。
味や香りは感覚なので、どうしても個人差が生まれてしまいます。
それを限りなくなくし、おいしい味を保つために
味や香りの表現に基準を設けていくのです。
企業秘密なのであまり具体的には伝えられませんが、
香りの種類を事前に言語化したリストがあります。
例えば、フルーティな香りでいうと
みかん、バナナように一つ一つの香りに基準になる言葉を設定しています。
香りを表現する言葉が、検査する人間全員で一致するよう日々訓練しています。
経験で味がわかるようになっていく、覚えておくという感じでしょうか。
そんな基準を設けて、おいしい焼酎の味を
つくり続けられるようにしています。

失敗例から
新たな焼酎づくりを。

杜氏という役職は蒸留所に一人です。
つくり手でありながら、味を決める管理人のような役割です。
焼酎の味の歴史は黒瀬杜氏から始まりました。
黒瀬杜氏の技術を社内の人間も一緒になって
味を踏襲していくことで焼酎づくりの伝統を守り続けてきました。
私自身17年修行させてもらって杜氏になったという経歴です。
黒瀬杜氏の歴史と伝統技術をもとに、
日々研鑽を重ねながら安定した味を目指しています。
長い歴史、技術と知恵を生かした新しいチャレンジもしています。
具体的には、低温発酵や新しい麹へのチャレンジです。
ここで活きてくるのは、成功例ではなく失敗例。
ありがたいことに、長い歴史の中で失敗の数値や膨大なデータがあるので
その失敗から学ぶことで新しいことに挑戦しています。
新しいチャレンジには歴史が必要だと思っています。
歴史から学び、つぎの焼酎つくりに活かしていきたいと思っています。

もう一度、
お湯割り文化を鹿児島から。

今はなかなか飲む人が少なくなってしまいましたが、
伝統的にお湯割りで飲むという文化が
鹿児島には根付いていると思います。
私達が子供の頃から、親や大人の人たちが飲んでいたので
例えば、大人数での宴会のときはやかんでお湯を温めていて
みんなでお湯割りを飲んでいたイメージがあります。
ロクヨンのお湯割りを企業としては、オススメしていますが、
実は人によって好みの比率があったりします。
鹿児島ではグラスに先にお湯を入れておくということも定着していると思います。
そんな文化がなくなってしまうのは寂しい。
私達も守っていかなければならないと思っています。
これからも美味しい焼酎をつくり続けていきますので、
本来の芋の味や香りを楽しめるお湯割りを
是非、一度飲んでいただきたいと思っています。

安藤 裕二

  • 摩酒造株式会社
  • 頴娃蒸溜所 杜氏
  • お湯割りが
    鹿児島で
    愛される理由。

    焼酎博士。そんな形容がピッタリなほど焼酎に詳しい鮫島吉廣先生にお湯割りが美味しい理由を伺ってみました。
    深い知識と経験からお湯割りを科学していきます。

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  • 奥が深い、
    お湯割りの
    香り。

    香り。という観点から焼酎の美味しさを探求し続ける摩酒造研究開発室室長島田翔吾さんにお湯割りが美味しい理由を伺いました。

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