蔵の表玄関には、大きな「杉玉」が揺れています。
杉は神聖なる木。
「今年の新酒ができました」という、喜びのしるしです。
収穫したての新鮮なサツマ芋は、すぐさま蔵へ運ばれ熟練の手さばきで選別されます。
蒸しあがったサツマ芋の甘い香りに、蔵の空気もやさしくほぐれるよう。
焼酎仕込みが始まった日から杜氏、倉子達は、おいしい焼酎ができるようにと
神経を研ぎ澄ませ、一心不乱に務めてきました。
いい焼酎とは、一次もろみ(酒母)の良し悪しで決まりますが、
「いい麹を作るためには、蒸しが一番大事」と杜氏さんは語ります。
この日の仕込みは、芋麹の芋仕込み。
蒸気が立ち上がる中、絶妙のタイミングで切り返しをしながら蒸しに全神経を注ぐ姿は、
まさに焼酎造りのマエストロです。
芋の温度が33℃になるまで冷ましながら麹を揉み込んだ後、
こんもりと盛って麹室へ。
「芋麹は一昼夜経っても、ほぼ、そのままの姿。明朝5時ごろ42℃に
なるのが理想的だな」と杜氏の厳しい瞳も一瞬、やわらぎます。
伝統の技術と培った経験によって仕込まれた今年の新酒。
待ちに待った、おししい新酒ができました。
南薩摩の”旬”をぜひ、味わってください。